●スポーツ●野球●卓球●競走●陸上競技●マラソン●空手●柔道●剣道●体操●鉄棒●サッカー●テニス●バレー●バドミントン●ゲーム●グラウンド●競技場●運動場●体育館●オリンピック●選手●ラグビー●バスケット●棒高跳●砲丸投げ●槍投げ●円盤投げ●ランニング●徒競走●ホッケー●ｘｘボール●レスリング●ボクシング●スポーツ●野球●卓球●競走●陸上競技●マラソン●空手●柔道●剣道●体操●鉄棒●サッカー●テニス●バレー●バドミントン●ゲーム●グラウンド●競技場●運動場●体育館●オリンピック●選手●ラグビー●バスケット●棒高跳●砲丸投げ●槍投げ●円盤投げ●ランニング●徒競走●ホッケー●ｘｘボール●レスリング●ボクシング
●スポーツ 
百姓は我がスポーツよ去年今年 等々力悦子
●野球
スポンサーのご好意によりまだ野球 筑紫磐井
三寒の空へ飛び出す野球帽 原田和子
上海陥落工場野球よく晴れたり 細谷源二 鐵
夏近し野球部のみな丸坊主 橋本榮治
夕焼の空のサイレン野球果つ 雨月 大橋櫻坡子
夕立や野球の子等は物置に 下崎真理子
少年野球わあわあと蝉じいじいと 宮坂静生 青胡桃
工場野球外野手兵となりて戻らず 細谷源二 鐵
工場野球軍籍もてる掌をひらく 細谷源二 鐵
廃校の野球ベースに木の葉とぶ 水田江葦
日雷女に流行る野球帽 黒岩秀子
月の寺蓮華は野球をして眠らない 西川徹郎 桔梗祭
校名の消えて野球の夏終る 足立みつお
梅雨晴や野球知らねばラヂオ消す 及川貞 榧の實
淫らな野球する野球人しびとばな 西川徹郎 家族の肖像
異口同音に野球専修百千鳥 香西照雄 素心
緑蔭の野球の球が緑蔭ヘ 鈴木洋々子
脚冷えて立ちて観ていし孤児の野球 鈴木六林男 谷間の旗
薬罐灼けすぐにアウトとなる野球 八木三日女 紅 茸
野球帽阿弥陀被りに踊りける 渡辺倫子
野球見の大日輪に魂酔へり 飯田蛇笏 霊芝
野球観に母の日の妻連れ出しぬ 奈良文夫
野球部の坊主頭や紅蜀葵 冨田正吉
野球部の大声の初詣かな 甲斐多津雄
銀杏散る野球少女の帽子にも 仙田洋子 雲は王冠
霜柱野球の児等にくずされる 田原弘子
高架より見ゆ土間の芋野球具も 宮武寒々 朱卓
黄金の蓮へ帰る野球かな 攝津幸彦
●卓球
卓球の日向の音のポインセチア 永末恵子 発色
黒潮は旧正荒れや卓球す 宮武寒々 朱卓
キヤンプ村ピンポン玉のかぜながれ 京極杞陽 くくたち上巻
ピンポンの球コスモスの花の中に 香川楓子
ピンポン球脣紅のこる五月来ぬ 宮武寒々 朱卓
女子寮のピンポンの音春めけり 谷内瑞江
毛虫這ふピンポン台に負けてをり 稲畑汀子
葭戸よりピンポン室の灯に惹かる 長谷川かな女
避暑の娘に馬よボートよピンポンよ 稲畑汀子 汀子句集
降る雪にピンポンの音は廊下の果 栗林一石路
●競走
緑さす窓を雨滴の徒競走 高澤良一 素抱
●陸上競技
●マラソン
うけ口の苹果(りんご)の莟マラソン過ぎ 川崎展宏
スタートは水菜でありぬ女子マラソン たまきみのる
マラソンが歩いてきたる野菊かな 細川加賀 『玉虫』以後
マラソンが見ゆ青梅雨の城下町 柴田白葉女 花寂び 以後
マラソンに賭けし日遠しオクラ食む 小谷野重雄
マラソンのあとクローバーに伏し息す 草間時彦
マラソンのおくれた首を消さずに振る 林田紀音夫
マラソンの一団くづれ山笑ふ 渡邊千枝子
マラソンの余す白息働きたし 野澤節子 牡 丹
マラソンの全走者消え初霞 丸山哲郎
マラソンの息が過ぎたる冬の幹 岸原清行
マラソンの息の均等二月の風 宇多喜代子
マラソンの息をひきずる初御空 井手貞子
マラソンの止ることなし木蓮白し 長谷川かな女 花 季
マラソンの窓下馳せすぎ事務始 岡田貞峰
マラソンの背に負ふ孤独北風つよし 中尾みどり
マラソンの背中見送る冬木立 池田敬彩
マラソンの足扇形に滝の使徒か 八木三日女 赤い地図
マラソンをなぜヒロシマでするんだろう 相原左義長
マラソン少年うろこ雲曳き久保山忌 諸角せつ子
マラソン通過痰ぬらぬらと操短地區 鈴木六林男
マラソン青年ルソーの冬の森を抜け 河野南畦 湖の森
元日の市民マラソン城めぐる 船坂ちか子
北風あたらしマラソン少女髪撥ねて 三鬼
千人の地ひびきマラソン枯野へ発つ 豊田 晃
千鳥の声鈴振るやうに子のマラソン 加藤知世子 花寂び
呟くや寒夜マラソンに追抜かれ 細川加賀
土蛙マラソンのビリ懐しや 成田千空 地霊
夕焼の間に合うようにマラソンす 小泉 静
寒中マラソン紙吹雪のごと発走す 内田美紗 魚眼石
寒林にマラソン声を先立て来る 宮坂静生 青胡桃
寒潮に沿ふマラソンの唇その眉 鈴木鷹夫 渚通り
彎曲し火傷し爆心地のマラソン 金子兜太 金子兜太句集
息はづませ月の陸橋マラソン過ぐ 宮坂静生 青胡桃
樹下の冷えてのひらにマラソン小さくなる 桜井博道 海上
泳ぐやうにもがきマラソン涅槃雪 仙田洋子 橋のあなたに
湾曲し火傷し爆心地のマラソン 金子兜太(1919-)
田園の憂鬱よ鼠のマラソンよ 椎名弘郎
白鷺のようなマラソン遠く癌すすむ 赤尾兜子
皮膚赤くマラソン終へて毛襯衣着る 中山純子 茜
秋夕映森はマラソン吐き続け 井上宗雄
耕し疲れマラソン疲れかさなりし 今坂柳二
蕗煮つまるマラソンの最後尾過ぎ 河合凱夫 飛礫
蘖の脇をマラソンの息息息 須川洋子
蝿取草一人マラソン帰り来る 八木林之助
蟻の貌してマラソンを完走す 片岡宏文
計時するマラソン監督着ぶくれて 山前洋子
雪嶺やマラソン選手一人走る 西東三鬼
●空手
すさまじき空手の気合眉涼し 河野静雲
柾の実空手に通う姉妹 白石みや
盆僧の去るや大学空手部へ 赤松[ケイ]子
空手胼胝火種の如しふところ手 赤松[ケイ]子
視野に孫空手道場蒸し暑し 山本弥生
●柔道
春光へ叩き干さるる柔道着 加賀見保子
柔道の先生来たり枯木立 滝井孝作 浮寝鳥
柔道着で歩む四五人神田に冬 草間時彦
柔道着二人で絞り草萌ゆる 大串 章
肩怒り北風に干さるる柔道着 岸田純子
蓮の実とぶぐずぐずぐずの柔道着 栗島 弘
黒帯の柔道衣手に卒業す 鈴木篁舟
黒杉へ駈けて冬来る柔道着 鈴木鷹夫 渚通り
●剣道
剣道のたたんと進む寒の入 正木ゆう子
剣道の稽古のあとの飴湯かな 古賀筑史
剣道の試合の気迫大石忌 吉村美比古
勇ましき花見剣道部旗をたて 福田蓼汀
地に憩う剣道の夏深まりし 鈴木六林男 王国
●体操
あめんぼの準備体操始まれり 高澤良一 鳩信
はるかよりラジオ体操墓洗ふ 山野宏子
ストレッチ体操途中蝿を打つ 鈴木啓子
ポプラの流離屋階に体操する看護婦 阿部完市 証
ラジオ体操寝惚けまなこで夏休 高澤良一 素抱
今替えし畳に母が体操す 山尾玉藻
休暇にして体操場の櫻哉 寺田寅彦
伸びきらぬ手足の体操小鳥来る 高橋うめ子
体操のマットの匂ひ日雷 山本左門
体操の影に手が出て昼蛙 昆ふさ子 『冬桜』
体操の時間を遠見きんぽうげ 田村千代子
体操の時間切りかへ菌狩 山中弘通
体操少女暮れては繭の光りの輪 高野ムツオ 陽炎の家
体操時間皆駆けて水鳥の晝 容(内田易川句集) 内田易川
元朝の体操いつか鳥になる 橋爪鶴麿
冬木一本のかたち体操部員 川村三千夫
卒業の体操服のリハーサル 中本真人
坐ったまま体操をする冬座敷 池田澄子
夏曉の関節鳴らす徒手体操 高澤良一 素抱
夜勤あけのひとり体操百千鳥 平井さち子 紅き栞
子につきて美容体操沙羅の花 石田あき子 見舞籠
子の体操影に手が出て貝割菜 中村明子
屋上のラジオ体操爽やかに 小原菁々子
崩れ簗体操服の子がひとり 山尾玉藻
工場体操わが影若き技師に踏まれ 細谷源二 鐵
常の日の遠き体操秋日影 龍男
年よりのかくれ体操雲の峰 甲斐多津雄
手袋の守衛たいくつ体操す 今井千鶴子
明治節乙女の体操胸隆く 石田波郷
昼過の体操場をばつた飛ぶ 寺田寅彦
木の芽曇り体操終えし手袖にしまう 田川飛旅子 花文字
梅雨滂沱ひとり体操声張つて 田代朝子
浅春の体操教師の歯がしろい 藤木清子
浅春の体操選手の歯がしろい 藤木清子
白い体操の折り目正しく弱るキリン 赤尾兜子
白は強すぎる色 体操服の少女 伊丹公子 陶器の天使
真つ直ぐに立つも体操寒の明け 柿沼盟子
空襲なき朝の体操菜の芽出づ 皆川白陀
老いてゆく体操にして息白し 五味 靖
老人の屈伸体操蓑虫に 高澤良一 素抱
老人の我流体操カンナの辺 高澤良一 素抱
花木槿ラジオ体操ながれおり 松島美佐子
葉桜や土にまみれし体操着 水野谷友子
蚤はむらさきに背を伸ばし朝の体操 荻野雅彦
陰々と体操をする遠干潟 齋藤玄 『狩眼』
鹿火屋守おもむろに立ち体操す 南 美智子
●鉄棒
てのひらに鉄棒の錆夏めく日 廣瀬直人
リラ冷ゆる鉄棒に錆うすうすと 奈良千代子
夏痩せて腕は鉄棒より重し 川端茅舎「春水光輪」
大試験終へ鉄棒に逆上がり 木田千女
手がありて鉄棒つかむ原爆忌 奥坂まや
椎の花鉄棒下りし手のにほふ 福永耕二「鳥語」
死の如し雪降るなかの鉄棒は 奥坂 まや
父祖の田を逆さに農の子の鉄棒 登村光美
秋晴れの鉄棒を地に積むひびき 細見綾子
胸痛きまで鉄棒に凭り鰯雲 寺山修司 花粉航海
芽柳や鉄棒の子の四肢自在 仲田志げ子 『埋火』
葉ざくらとなり鉄棒に亡兄がいる 室生幸太郎
鉄棒でたたきくだくや斗り炭 水田正秀
鉄棒といふ直線の灼けてをり 永野佐和
鉄棒にくくられており風車 二村典子
鉄棒に一回転の花の空 星野椿
鉄棒に下り健康夏の朝 森竜南
鉄棒に少年二人二日の朝 佐藤鬼房
鉄棒に折りたる花の夜のからだ 鳥居真里子
鉄棒に止まるトンボは筋肉痛 たいら淳子
鉄棒に稲穂干されて休校日 浅見まき子
鉄棒に雀ふくらむ冬休暇 香取哲郎
鉄棒のように曲がる人間シーツの上 大石和子
鉄棒の一回転の花の空 星野椿
鉄棒の下の窪みの寒暮かな 内田美紗 浦島草
鉄棒の下まで火山灰や入学す 稲荷島人
鉄棒の夜の高さに弟よ 徳弘喜子
鉄棒の子の蹴り上げる空五月 後藤純子
鉄棒の少年見てる秋の雲 大西健司
鉄棒の影が砂場に来て曲がる 渡辺晧
鉄棒の影段ちがひ入学す 上田日差子
鉄棒の端より錆びてよなぐもり 菅原章風
鉄棒は風で乾いて 遠くで物理 伊丹公子 メキシコ貝
鉄棒もシーソーも空き運動会 湯川雅
鉄棒をぐいと握りぬ朝櫻 高澤良一 鳩信
鉄棒を雲遠ながれ休暇明け 河内凡生
鉄棒を静かに過ぎる日の盛り 合志浩子
鉄棒少女へ 逆さの春の 鼓笛隊 伊丹公子 機内楽
雛あられこぼし鉄棒逆か上がる 小林守男
雪晴の雪に足跡鉄棒まで 藤岡筑邨
青芝に鉄棒のある避暑の宿 岩田由美 夏安
風光る鉄棒に少女からまり居て 宮坂静生 青胡桃
●サッカー
つばな土手サッカー少年作戦中 岡崎万寿
サッカーの競りあふ影の一となる 鈴木貞雄
サッカーの陣を構へし孤々の影 鈴木貞雄
サッカーは天皇杯の青き空 岩田由美 夏安
サッカー少年午後の秋天喪失す 萩山栄一
サッカー選手白き息より疾く走る 児玉俊子
サッカー部夕焼けを使い果したり 中島伊都
サツカーに叫ぶ天皇誕生日 味元昭次
サツカーに熱びし身にてほたる呼ぶ 関森勝夫
ブーツもてサッカーボール一蹴す 樋笠文
伊勢撫子さにづらふ初陣のサッカー 塚本邦雄 甘露
犠牲者碑みえ サッカーの ザ・パダン 伊丹公子 機内楽
脱ぎしシャツ振りサッカーの勝者たり 小澤實
花野切れサッカー場よブラジルよ 星野椿
草のような少年サッカー露微塵 穴井太 原郷樹林
裏口のサッカーボール鬼やらひ 森美樹
蹴り上げしサツカーボール虹を追ふ 三浦慶子
●テニス
テニスする午前七時の若葉かな 鈴木しづ子
テニスちよつと見てすぐ試験監督へ 井本農一 遅日の街
テニスの娘水飲みに来る立葵 榊原弘子
テニス見る顔右ひだり春の風 嶋田一歩
テニス部に入り忽ち日焼娘に 山田弘子 螢川
テニス部の白線をひく初稽古 坂口晴子
冬木の芽テニス始めし子の瞳 松本賢蔵
夏来る地を蹴り上げてテニスかな 副島いみ子
秋晴をテニスの音の打つてをり 蔦三郎
青嵐テニスのあとの物理学 高澤晶子
鰯雲テニス試合を応援す 宮坂静生 青胡桃
●バレー
屋上のバレー 首に被爆のウオッチ垂れる 室生幸太郎
バレー部の合宿終る日雷 土橋いさむ
●バドミントン
海に太陽バドミントン選手ら負けて笑ふ 橋 間石
バトミントン少女夜涼の灯の左右へ 仲田藤車
バトミントンして凶作の村役場 小沢昭一
●ゲーム
あたりゲームたうもろこしも焼けにけり 久保田万太郎 草の丈
あめんぼの伝言ゲーム終わらない 本田ひとみ
ファミコンのゲームの迷路雪降れり 石寒太 翔
人生ゲームのコマのやうなり花八つ手 小林貴子
椅子取りのゲームに負けた冬の蜂 尾原 葛
水仙のありかを突き止めるゲーム 櫂未知子 蒙古斑
炎暑に貯金下ろすは砂取りゲームに似 高澤良一 寒暑
短日の椅子取りゲームきりもなく 二村典子
●グラウンド
グラウンド光溜めをり卒業す 鈴木貞雄
グランドに湿りきてをり後の月 小島健 木の実
グランドに球児礼せり大夕焼 小島健 木の実
グランドに競歩の男秋の暮 寺岡捷子
グランドの少年といる寒鴉 横山風樹
夜学子に灯すグランド声高し 小笠原須美子
学園スト続くグランド水溜り 森田智子
甲子園グランドを馳す大夕立 高澤良一 燕音
白い走力グランドに散る枯葉 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
●競技場
競技場のまはりにはスコポラミンの坂がある 加藤郁乎
●運動場
めぐりさく運動場の櫻哉 寺田寅彦
アルプスは運動場なり仏法僧 駒走鷹志
啓蟄の運動場と焦土のみ 中村草田男
啓蟄や運動場に箒持つ 金井かおり
白雨いま運動場を叩きけり 寺田美佳
運動場のどかに廻る一輪車 吉村絹子
運動場のみが素面や颱風下 津田清子 二人称
運動場一面の水燕翔く 茨木和生 木の國
霰跳ね運動場に子等踊る 小林道子 『下萌』
首ゆりつ運動場を雁わたる 飴山實 少長集
●体育館
からつぽの体育館の西日かな 河合澄子
ぎつしりと体育館に大寒気 矢島房利
体育館は巨大な卵冬の雨 高野ムツオ 蟲の王
綿虫に体育館の扉あり 山尾玉藻
蝙蝠や体育館に余熱あり 須川洋子
鰯雲体育館の脚が見え 矢島渚男 百済野
●オリンピック
睫毛に雪オリンピックに花を売る 矢島渚男 延年
オリンピック開会一羽の鳩を秋芝に 長谷川かな女 花寂び
オリンピック騒ぎすみたる小春かな 吉屋信子
●選手
オリムピック選手がきまりし溝浚ふ 加倉井秋を 午後の窓
サッカー選手白き息より疾く走る 児玉俊子
ラグビーの選手あつまる櫻の木 田中裕明 山信
少女選手泳ぎつきいま死角にゐる 竹中宏 句集未収録
日に焼けて旗手と二人の選手団 大島民郎
日焼して補欠選手で引退す 川村ひろし
浅春の体操選手の歯がしろい 藤木清子
海に太陽バドミントン選手ら負けて笑ふ 橋 間石
紙漉くや水泳選手出でし家 大島民郎
選手知るや跳躍台に月のぼる 水原秋櫻子
雪嶺やマラソン選手一人走る 西東三鬼
●ラグビー
ガラス拭くたびラグビーのポール見ゆ 徳弘純 麦のほとり
ラグビーが駆け抜けし胸どう老ゆる 北 登 猛
ラグビーに青春の影踏みあへり 山岡 季郷
ラグビーに風上ミと風下モのあり 粟津松彩子
ラグビーのしづかにボール置かれけり 岸本尚毅 舜
ラグビーのその夜の頬の燃ゆるかな 行方克巳
ラグビーのぶつかつてゐる虚空かな 成瀬正とし 星月夜
ラグビーのまぢかの拍手あびてかへる 波多野爽波
ラグビーのシャツ洗われている頃か 田中いすず
ラグビーのジャケツちぎれて闘へる 山口誓子
ラグビーのスクラム解くや全く闇 星野麦丘人
ラグビーのボール大地に立てて蹴る 粟津松彩子
ラグビーの今終りたる笛高し 井桁蒼水
ラグビーの倒れし顔の芝にあり 三宅二郎
ラグビーの傷を頬にし薬喰 亀井糸游
ラグビーの先ずスクラムの音湧きぬ 稲岡長
ラグビーの勝者敗者の長き影 藤本朝海
ラグビーの地にでこぼこの大薬缶 宮川杵名男
ラグビーの声とび鴉飛ばしけり 河前 隆三
ラグビーの外人船にかへるところ 五十嵐播水 埠頭
ラグビーの天を仰いで終りけり 次井義泰
ラグビーの天を落下の楕円球 粟津松彩子
ラグビーの巨躯いまもなほ息はずむ 山口誓子
ラグビーの影や荒野の声を負い 寺山修司
ラグビーの後に投げて進むとは 山中宇田子
ラグビーの敗者の引きし夕日影 三井千秋
ラグビーの死闘と別に雀群れ 森澪雨
ラグビーの殺到しくる顔ゆがみ 下村福
ラグビーの泥んこ地獄断てり笛 あかぎ倦鳥
ラグビーの渦潮とけて奔り出づ 水原秋桜子
ラグビーの激闘のロスタイムあり 粟津松彩子
ラグビーの独走さらに独走す 岸風三樓
ラグビーの終りて比叡のみそびゆ 森田峠 逆瀬川
ラグビーの花はタックル巨躯倒す 粟津松彩子
ラグビーの藥罐運びて医を継がず 西宮守
ラグビーの選手あつまる櫻の木 田中裕明 山信
ラグビーの野辺も稲城も狐色 山口誓子
ラグビーの雄叫び城に轟けり 野本嘉子
ラグビーの離り駆くるがみな斜め 岸風三樓
ラグビーの音なき画面雨しぶく 行方克己 知音
ラグビーの頬傷ほてる海見ては 寺山修司(1935-83)
ラグビーの風上ミと風下モのあり 粟津松彩子
ラグビーの首を構へて相対す 松村 恒
ラグビーの駆けてかけてに胸躍る 小川 隆
ラグビーは紫紺の怒濤「前へ」「縦に」 川崎展宏
ラグビーや前歯を欠きしまま笑ふ 荻野 操
ラグビーや唇きつく噛む少女 折原あきの
ラグビーや敵の汗に触れて組む 日野草城
ラグビーや水の争点白く清し 香西照雄 素心
ラグビーや青雲一抹あれば足る 中村草田男
ラグビーを見て口紅の濃き女 成瀬正とし 星月夜
ラグビーボールぶるぶる青空をまはる 正木ゆう子 悠
ラグビーボール大跳ね母校に勝機くる 奈良文夫
ラグビー叱咤の声はね返す古城郭 鍵和田[ゆう]子 未来図
ラグビー場の/観念として/餅の華 林桂 銀の蝉
ラグビー場ひとめぐりして卒業す 浅井敦子
ラグビー場四辺を枯らし霙ける 岸風三楼 往来
ラグビー戦まづ太陽を蹴り上ぐる 那須 淳男
ラグビー見る中の一人の初島田 宮田枝葉
吾れにも射すラグビー果てし西の日が 黒谷忠
書庫守に声なきラグビー玻璃戸走す 中村草田男
枯草にラグビーの血の乾かざる 日野草城
柩かこみラグビーの歌空は五月 原田青児
正月のプランの中のラグビーに 稲畑汀子
筋金は働くちからラグビー猛る 宮坂静生 青胡桃
紅き膝掛してラグビーを声援す 池田秀水
胃が重きうつつラグビー馳せつづけ 細川加賀
蜂の縞はなれラグビー戦たけなは 河野多希女 月沙漠
見舞ひて帰る辺のラグビーの蹴り強し 八木林之助
記者の背の高低ラグビー立ちて見る 横山房子
走る走る走るラグビーの男 秋山巳之流
黄落の遠きラグビー群蜂めく 八牧美喜子
●バスケット
●棒高跳
声なくて棒高跳の昏れのこる 林田紀音夫
夜涼かな棒高跳に刻うつり 下村槐太 天涯
寒晴へ棒高跳の棒はなす 渡辺鮎太
数人に棒高跳の日暮れ来る 林田紀音夫
炎天や棒高跳びの棒倒る 山根 真矢
罠見ゆるまできさらぎの棒高跳 熊谷愛子
豊年へ棒高飛びの棒撓ふ 吉田汀史
●砲丸投げ
くろがねの秋の砲丸ちぎれとぶ 萩原麦草 麦嵐
死は汗のひゆるがごとくきたるべし 真夏砲丸投げのわかもの 村木道彦
砲丸のような蒟蒻玉並ぶ 茂木いづみ
砲丸のドスンと寒の明けにけり 沼等外(1919-)
砲丸をおしだす肩のうしろ暗む 内野 修
●槍投げ
春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎(1911-2002)
時代祭華か毛槍投ぐるとき 高濱年尾 年尾句集
槍投げてよゝとよろめく若芝に 岸風三樓
槍投げの切尖ひかる白露かな 野辺祥子 『遠野火』
槍投げの友の掌ぬくし年の酒 島津 亮
槍投げの槍婚礼に命中す 中烏健二
槍投の槍のゆくえも夏の果 小林 進
槍投の裸像の空を若葉風 福本天心
炎天に槍投げてをる草田男忌 角川春樹
●円盤投げ
円盤投の縒る全身や春の鷹 熊谷愛子
●ランニング
●徒競走
緑さす窓を雨滴の徒競走 高澤良一 素抱
●ホッケー
ホッケーの球の音叫び声炎帝 星野立子
●ｘｘボール
へこんだフツトボールの革、バルコンの陽だ 北原白秋
ゴルフボール探すあたりの草いきれ 岡本佐和子
ブーツもてサッカーボール一蹴す 樋笠文
ボール来て少年が来て草芳し 野坂潭水
ボール蹴る少年一人秋の暮 越智貴美子
ユッカ咲くボール遊びの児らの声 吉田テル
ラグビーのしづかにボール置かれけり 岸本尚毅 舜
ラグビーのボール大地に立てて蹴る 粟津松彩子
ラグビーボールぶるぶる青空をまはる 正木ゆう子 悠
ラグビーボール大跳ね母校に勝機くる 奈良文夫
三伏のフォークボールの落ちどころ 上谷昌憲
中指がボールに触れる夜長かな 松本悦子
冬の秣場キヤツチボールをする他なく 宮坂静生 青胡桃
冬晴れや力をもつて打たれしボール 細見綾子 花寂び
冬木の枝に止まりしボールにかかづらふ 細見綾子 黄 炎
夏草やベースボールの人遠し 正岡子規
太陽ヘボールを蹴つて卒業す 片山由美子 風待月
尾を引いて転がるボール春の草 今瀬剛一
捨ボール野分の空へ投げ放つ 宮田和子
春待つや力をこめてボール蹴る 波多野爽波 鋪道の花
枯野まで抱き来しボール蹴りはじむ 上野さち子
校庭でボール蹴る音春光 山口恵美子
殺到のラガーを外れしボールかな 稲岡長
秋思かな広場にゲートボール跡 宮内容子
芝萌てゴルフボールと色分つ 石塚友二
花茨ゴルフボールが孵りさう 鍵和田釉子
草茂みベースボールの道白し 草茂る 正岡子規
菊折りし怒のボール投げかへす 服部衣山人
萩揺れてゲートボールの声弾む 幾瀬ふじ子
裏口のサッカーボール鬼やらひ 森美樹
見当らぬゴルフのボール草いきれ 三木由美
豆腐買ふボール預り花の雨 遠藤梧逸
赤とんぼキヤッチボールの宙を縫ふ 吉原文音
蹴り上げしサツカーボール虹を追ふ 三浦慶子
都会の昼一個のボール転りゆき 鈴本六林男
金網にボールがはまり冬紅葉 川崎展宏
●レスリング
●ボクシング
ボクシング・ジム裏口の猫柳 小川軽舟