●終末●最期の審判●末世●末路●有終●終極●成れの果て●結末●大尾●掉尾●最後●最終●ラスト●終盤●一段落●どん詰まり●挙げ句●土壇場●終幕●大詰め●千秋楽●ハッピーエンド●カタストロフィー●フィニッシュ●幕切れ●終末●最期の審判●末世●末路●有終●終極●成れの果て●結末●大尾●掉尾●最後●最終●ラスト●終盤●一段落●どん詰まり●挙げ句●土壇場●終幕●大詰め●千秋楽●ハッピーエンド●カタストロフィー●フィニッシュ●幕切れ
●終末 
夕焼けの終末どつと海湧けり 阿部完市 無帽
大航海の終末 マラッカの家紋寂び 伊丹公子 パースの秋
小夜千鳥蝋燭の灯も終末なり 佐野まもる 海郷
干鰈終末医療つばらかに 古川塔子
摩天楼 貝より始まる終末論 夏石番矢
木の葉木菟待つ終末を待つに似て 矢島渚男 延年
終末や風船に付く黒い絲 田川飛旅子
終末を小出しにふるふ地震といふエネルギア過ぐ粥すこし揺り 高橋睦郎 飲食
終末を知るごと蟻の一途なる 黒坂綾子 『黙契の虹』
終末論きみのラッパを高らかに 稲葉百穂
蝉の終末男湯真中噴き溢る 友岡子郷 遠方
逃げた雲追わんとする人生終末感 小林星人
●最期の審判
●末世
お身拭末世の塵のかく多し 園田二狼
ボタン一つの末世を犇と原爆忌 滝本魚顔女 『絵踏』
仏塔の蔭に末世の風涼し 中塚久恵
元禄も昭和も末世大雪解 西本一都 景色
大勢の末世の僧の常楽会 三星山彦
座禅草末世しずかに来つつあり 山崎政江
懸想文売るを末世とふと思ふ 江川虹村
末世でも神の国ぞよ虎が雨 一茶
末世後世すててあるのは土佐水木 阿部完市 軽のやまめ
此のやうな末世を桜だらけかな 小林一茶 (1763-1827)
此やうな末世を桜だらけ哉 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
百合白し愛あるかぎり末世ならず 甲斐遊糸 『冠雪』
舌うつて末世の神に初詣 斎藤玄
蛍光の蒼き雪道末世なり 山口誓子 青銅
誘蛾灯すでに末世の星懸る 山口誓子
●末路
アラビヤの波鹽辛き末路かな 横光利一
悪路王の末路とぶらふ座禅草 田中水桜
日に夜に末路のやうな白絣 斎藤玄 無畔
枯蔓の末路を晒す川っぷち 高澤良一 燕音
氷魚網に両手絡まる末路かな 塚本邦雄 甘露
穂芒の末路思はす風吹けり 高澤良一 素抱
紫陽花のうすぼんやりと末路のはな 高澤良一 寒暑
義経末路の束稲山かけ野分雲 橋本夢道 無類の妻
萩とざす線路いよいよ末路なる 赤松[けい]子 白毫
野辺といふ鮭の末路に妻つれて 曹人
●有終
有終の勤めへ衣更へにけり 福島眸
●終極
●成れの果て
小式部も成れの果てなる御所を出て 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
一漁師なれの果なる頬被 森田峠 逆瀬川
●結末
何がため赤い結末 曼珠沙華 水田昊子
ひとり尻取り/結末のお大星 仁平勝 東京物語
すかんぽや結末つかぬ立話 阿部美恵子
結末の近づいているショールかな 岡田 耕治
●大尾
●掉尾
●最後
「最後の晩餐」覆はれしとき現なるわれらが夕餉失せにたらずや 高橋睦郎 飲食
いちじくが甘し良寛最後の地 高木良多
いまは最後の恐竜として永き春 高柳重信
から鮭の阪東武士が最後かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
この年の最後が迅し柚子ころげ 蓬田紀枝子
この村の最後の藁屋鳳仙花 柚口 満
さくらんぼ最後のひとつ誰のもの 工藤克巳
したたりの最後の三語 Es ist gut 高澤晶子 純愛
どうせ最後は 腹切るつもりの人愛す 山崎秋風鬼
どんたくの列の最後に父の顔 的野雅一
ぶだう食ぶ最後の晩餐図の前で 鍵和田[ゆう]子 浮標
サンタ・マリア・グラーツェ大寺舊食堂「最後の晩餐」覆(お)はれ了んぬ 高橋睦郎 飲食
トライせしラガー最後に起ち上がる 里川久美子
ボンペイ最後の日の穀象ひた歩ゆむ 成瀬櫻桃子
ボート裏返す最後の一滴まで 山口誓子「和服」
ポンペイ最後の日の穀象ひた急ぐ 成瀬櫻桃子 素心
ワープロの最後の文字は雪女 東 珠生
一村をあげて最後の雪卸す 樋口 保
一箱の最後の林檎籾を出づ 朱鳥
上り鵜の最後の一羽鳴きにけり 鈴木六林男 王国
丸ビルの最後の初句会となり 稲畑廣太郎
交響曲の最後は梅雨が降りつつむ 津田清子 礼 拝
仮橋の最後のひとり霧となる 小泉八重子
儀式の練習最後に心理学者立つ 中烏健二
光放つが最後の思想白芒 齋藤愼爾
冬の峰最後の登山ある日かな 乙字俳句集 大須賀乙字
冬の森デモは最後に蹤いてゆく 寺田京子 日の鷹
冬の蝿耳にささやく最後の語 西東三鬼
凍蝶よ最後の逢いとつぐるまじ 三谷昭 獣身
十三夜母には最後かも知れぬ 近藤喜代美
卯の花や妻を最後の他人とす 田川飛旅子 『山法師』
囀の最後の一羽去りにけり 長田久子
夏休み最後の絵日記書き上げる 大河原佑子
夏休最後の日なるひかりかな 小澤實「瞬間」
夏暁や最後の日本の煙草吸ふ 林翔 和紙
夕月に最後の蟻として光る 内藤吐天 鳴海抄
大天井最後の単音往きて還る 鈴木六林男 桜島
大学生最後まで観る後宴能 右城暮石 上下
大満月つぎが最後の呼吸(いき)かもしれぬ 折笠美秋 君なら蝶に
大茜のこす最後の鴉かな 橋本夢道 『無類の妻』以後
威し銃最後の威し滲みとほる 宮里流史
婚の荷の最後に水着詰めてをり 辻美奈子
学校が平地の最後雪の峯 茨木和生(1939-)
寒やいと最後の綱とたのみけり 成瀬櫻桃子 素心
寒餅や最後の癩の詩つよかれ 村越化石
射干の最後の花と思ひ見る 若山良子
山椒魚最後のひとり喘ぎ来る 菅原鬨也
川狩の最後は遠き世のごとし 杉本雷造
左義長の最後の花火か眠りけり 阿部みどり女 月下美人
底のはうから最後の豆腐大晦日 中田剛 珠樹以後
打水の最後の水がとんでゆく 辻田克巳
拝観の最後の一人鵙を聞く 高澤良一 宿好
旅客機閉す秋風のアラブ服が最後 飯島晴子
春の寺最後晩餐の図に見ゆ 山口青邨
春の月仰ぎ丸ビル最後の日 稲畑廣太郎
春も徂くか釘打つ音を最後とし 加倉井秋を 午後の窓
曼珠沙華最後の舌を使いけり 久保純夫 熊野集 以後
最後と思はざりき姉のうしろ窓あり椿の木 中塚たづ子
最後にはやぶれかぶれや大花火 須川洋子
最後には捨てる木の実を拾いけり 栗林幹子
最後に逢つた其春雨の夜も古くなつた 梅林句屑 喜谷六花
最後の一羽の雀も 棟をとんで 夕霜 吉岡禅寺洞
最後の審判 夕日は警告しつづけた 平田栄一
最後までスケート場の四隅混む 五十嵐研三
最後まで生きぬくは誰梅雨の蝶 星野立子
村の木へ離郷最後の雪礫 中田勘一 『雪礫』
枯芦の最後の絮も翔ばしけり 高橋利雄
梅干して最後の貞女妻こそは 佐野まもる
梅雨見舞い最後にご健吟下さい 相原左義長
榾割りの最後の一斧汝に打つ 田仲了司
橡の花きつと最後の夕日さす 飯島晴子「蕨手」
母を受取る最後の一人春託児所 田川飛旅子
水貝の皿は最後に箸をつけ 稲畑広太郎
泊りたる最後の部屋の窓夜長 福田蓼汀 秋風挽歌
海の蝶最後は波に止まりけり 折笠美秋(1934-90)
涅槃図の月が最後に捲かれけり 市堀 玉宗
湾青し猟期最後の雉子撃たれ 大岳水一路
火掻棒最後に燃やし落葉焚 井関しげる
灯さず最後の部屋の秋の暮 福田蓼汀 秋風挽歌
炭火の香吾れを最後の喉管ぞ 白井春星子 『喜雨』
煮凝の白眼を最後まで残す 桂信子 草影
物枯れて最後に笑うや大茸 安井浩司 氾人
独活枯るるところ最後の蜂羽音 村越化石 山國抄
猫舌へ最後に回す鶏雑炊 岡田カヨ子
省略の最後がよしと柳の芽 久保田孝子
睡蓮や下校最後のひとり来る 今井聖 バーベルに月乗せて
短日の最後にたたむ袋帯 岩淵喜代子 硝子の仲間
石段の最後は跳んで犬ふぐり 渡辺幸恵
空白が最後の日記旱星 日原輝子(頂点)
約束の最後の橋の雪明り 水野真由美
紅葉に誓つてこれが最後の嘘 福本弘明
納骨は最後の訣れほととぎす 樹生和子
累卵の最後を割れば夏至の月 水野麗
編集の最後のカットチューリップ 出羽夫久子
自然薯を下げて最後に現れぬ 原田喬
自転車が最後に乗つて秋の航 内田美紗 魚眼石
落鮎の最後の橋をくぐりけり 赤塚五行
蓮掘りの最後は妻を引き上ぐる 美川一
蓮沼の木曾殿最後野分中 平井照敏 天上大風
蜩の最後の声の遠ざかる 稲畑汀子 汀子句集
蟷螂の武運拙き最後かな 会津八一
行く春の最後の一小節は雨 鈴木伸一
親を看る最後の家人シクラメン 鈴木 明
轍乾く最後の水馬を発たせ 宮坂静生 雹
迎鐘最後は僧が撞き納む 板谷芳浄
鏡餅最後に正し退社せる 林 周作
鑑真と母へ最後の牡丹挿す 細見綾子
長編の最後の頁虎落笛 井川市三
障子しむる妻の眼最後までのこる 山口誓子
雪に最初の足跡最後まで残る 津田清子 礼 拝
雪ふりふる最後の一片たりえんと 加藤秋邨 山脈
雪空の最後の一つをもぐ 種田山頭火 草木塔
霙るる槇最後のおもひ逢ひにゆく 鈴木しづ子
風生の最後の息を蝶とよぶ 筑紫磐井 花鳥諷詠
飴玉の最後の固さ寒の雨 星野高士
鬼灯の最後の種に破れけり 高浜朋子
鮟鱇の削がれ最後は畳まれぬ 納谷一光
麦踏の最後の夕日をふみゆけり 間立素秋
黄落や最後の恋文かも知れず 伊東靖子
●最終
朝顔や絵日記最終頁の遺書 仁平勝 花盗人
秋晴の拍手最終ランナーに 高橋笛美
銭掴み胼の手最終レース終る 杉本寛
闇に穴あけ世紀最終汽笛 浅井愼平
春の雪ふるふる最終授業かな 巻良夫
珊瑚と銅像くらく 最終バスが着く 伊丹公子 陶器の天使
●ラスト
風花や四百米走のラスト百 今井聖 バーベルに月乗せて
●終盤
終盤へ蝉さまようや西日中 高澤良一 寒暑
●一段落
攻め窯の一段落にハンモック 稲垣光子 『絵付筆』
畑手入れ一段落と髪洗ふ 須川峡生
もめごとも一段落し桃の花 高澤良一 宿好
死の階は夜が一段落葉降る 西東三鬼
●どん詰まり
孑孑の水や清水のどんづまり 柑子句集 籾山柑子
山峡のどんづまり宿薬喰 石井とし夫
旅師走湯宿は峡のどんづまり 原 松子
春蘭や秩父も奥のどんづまり 江口千樹
永き日のどんづまりなる酒肆灯り 老川敏彦
笹鳴や野仏おはすどんづまり 渡邊たけし
●挙げ句
夏掛を挙げ句の果てにぐるぐる巻 高澤良一 素抱
●土壇場
土壇場の蝉の声音と思ひけり 高澤良一 随笑
阿波踊驟雨の土壇場を惜しむ 佐野まもる
角刈り場土壇場へ鹿追込めり 橋本多佳子
深川祭その土壇場の雨激す 北野民夫
●終幕
バンクーバーの夏の終幕 大花火 伊丹公子 アーギライト
旅いつも終幕のあり時雨虹 山田弘子 こぶし坂
洋酒瓶多彩終幕よよと哭く 三谷昭 獣身
●大詰め
冬夕焼会社勤めも大詰めに 高澤良一 宿好
ハネムーンプラン大詰め初電話 山田弘子 こぶし坂
トランペット鳴き上げて師走大詰め 河野多希女 彫刻の森
●千秋楽
とし男千秋楽をならひけり 舟泉
面白や千秋楽をいとま乞ひ 才麿
●ハッピーエンド
映画またハッピーエンド街は秋 松尾いはほ
新聞小説ハッピーエンドせり師走 藤木清子
●カタストロフィー
●フィニッシュ
●幕切れ
幕切れにはどんな風吹く野鳥の声 瀬戸青天城
幕切れに陰火を燃やし盆芝居 三宅萩女
幕切れのごと雪嶺の夕日消ゆ 岡田日郎
幕切れの昼寝の中へ林檎投ぐ 和田悟朗