幕末を代表する浮世絵師のひとり歌川国芳（1791-1861）。
奇抜なアイデアと卓越した構図の武者絵、動物や植物を戯人的に扱う戯画で親しまれてきた。
今回は、あまり知られていない国芳の風景画、美人画、役者絵なども含め、国芳芸術の全貌にせまる

国芳展　

原宿族灼けほてる路往き来せり
原宿は灼けほてる街夾竹桃
夏木立風を呼び込むカフェテラス
髑髏圖も弱冷房に国芳展
脳天の先まで冷ゆる骸骨圖
国芳の肉筆美人門涼み
蝦蟇．一つ目舌切雀圖葛籠（つづら）より
幕末絵師国芳ひろぐ怪奇の涼
国芳のおどろ絵前にへばる夏
国芳の骸骨戯れ絵に涼む人
振りかざすだんびら涼し怪猫圖
髷涼しゅう芳年描く国芳圖
暑にかすむ神経衰弱芳年筆

坂田怪童丸
丸裸怪童丸は鯉抱く圖

海中に躍れる武者の赤ふどし

相馬の古内裏
骸骨圖解剖学的精度もて

讃岐院けん属をして為朝をすくふ図
鰐鮫のゾクと涼しや摺師の妙

閻魔王どでんと絵本合邦辻

川中島合戦図
夏霧に勘介入道討死圖
涼ゾクと勘介囲む槍襖

箱王丸
大願成就有ｹ滝縞嬶着こなし

野晒悟助
正札付現金男を指す扇子

優男髑髏模様の浴衣着に
夏夜に闘ふ烏天狗と牛若丸（うしわか）と
花魁の団扇絵あふげばさぞ涼し

源頼朝富士牧狩之図
岳麓を駈け下る猪牧狩圖

文覚の頭（かしら）を打てる那智の滝
物の怪の涼乗り移る国芳展
波間より知盛亡霊現れ晩夏
曲亭翁精著八犬士随一図
犬川荘介犬山道節見え切る涼

水滸伝豪傑百八人図
水門破り張順刺せる刺青（タトウ）の涼

国芳の血糊手形圖汗ばめる

宇治常任
夏木立締め上ぐ大蛇侠客圖

川中島真田昌幸
夜涼の川引き据え昌幸初陣圖

鼠除け猫圖霊験あらたかなり
八畳敷掲げて狸夕立避く
八畳敷ひろげ狸の川狩り圖
大蛇（おろち）めく松の太枝の羽衣圖
晩涼の黒々すずめ仮宿圖
夜涼の灯すずめのおいらん遊郭圖
とび．つばくろ芝居尽しの見立絵図
東都名所かすみが関の正月圖
昌平坂正月富士の晴れ姿

流行逢都絵希代稀物
大津絵の鬼らも正月都絵に

大名行列白狐にたぶらかされゐる圖
提灯持ちは狐大名行列圖
富士講衆汗して高輪大木戸圖

役者絵　尾上菊五郎
おお涼しやほおかぶり怪猫圖

としよりのよふな若い人だ
人体にて顔合成圖冷酒（ひや）を酌む

五条橋
ほうづき尽し絵牛若丸も欄干も

天狗の修行者
涼しげに天狗の行脚入浴圖

不忍池行断念
炎熱に打たれて蓮見どころでなし