あとがき 定年後、三年になる。平穏な日々が続いている。俳句の他にはこれと言った趣味もないので、毎日が句作りの日々であるが、見る処は是平々凡々、マンネリ化は免れない。 句作は句日誌風に、月四、五回に分け、パソコンに入力しインターネット上に公開している。今回の句集上木も前回同様、ＤＴＰ出版（印刷の前工程を全てパソコンで行う）の方法を採り、既にパソコンに入力済の拙句から選択・編集して一本とした。 当集「入院日誌」には、一九九七年七月の心臓弁膜症閉鎖不全手術の為に入院した折りの作品と、その翌年春の手術経過を診る為にカテーテル検査入院した折りの作品を併せて納めた。その他は経年編集とした。 作句期間は極めて短く、選は緩選だが、自分なりの消息を伝えるには、この程度この体裁が相応と考えている。ご批判は甘受したい。 漢の武将蘇武が雁の足に手紙を結んで都へ消息を知らせた故事から派生した言葉に、「雁信」「雁足」がある。さしづめ、私の場合には、同じ消息でももっと庶民的なところからのもので、「鳩の便り」あたりが似つかわしいと考え集名を「鳩信」とした。 句集上木に当たりましては、この度も（株）デジタルパブリッシンサービスの大塚正志氏に大変お世話になりました。厚く御礼申しあげます。 　平成十六年正月 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高　沢　良　一