あ　と　が　き


　ここ数年来、僧帽弁閉鎖不全なる一病にみまわれて，医通いが続いている。
要注意は水分の取り過ぎと急激な肥り過ぎである。にもかかわらず中年肥りの せいか、首回り、胴回りは、優にその適正寸法を越えた。
これも着られず、あれも着られずという妻の嘆息をよそに、庭に出ずれば、あ んずの葉上に何やら緑の一魂。
　芋虫大にして、角あり、ストライプあり。
　なかなかダンディーな一物である。
早速、「庭・畑の昆虫図鑑」にて調べてみれば、蛾の幼虫にして、モモスズメ とある。その脇にブドウスズメと云うのも載っている。
葡萄に来るからブドウスズメ。桃にくるからモモスズメか。それにしてもこの スマートな肥り様は、吾がミニチュア版にして快なる哉である。

此のころころ虫が大いに気に入ったので本集名とした。

　この度も本集上木に当っては、風神社の富田直治氏に一切合財お世話になっ た。厚く御礼申し上げたい。

　平成三年初秋

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高　沢　良　一