後　記


　句集『ねずみのこまくら』は私の第一句集である。
　顧みて、饒舌また冗漫な句ばかりが頭を並べている。
　自業自得。
　なれば、仕方がない。

　句作に当っては、極力、自己の性情に忠実でありたいと願って来た。
　すなわち、己が気持のおもむく処、言葉を矯めずにのびのびと申し述べてみ たいと。


　集名を『ねずみのこまくら』としたのも、その言わずもがなの処をよく弁え ている
「ねずみもちの実」に、我が意図するところを代弁して貰いたかったからであ る。


句集上木に当り、鉄之介先生からは直裁簡明なる御序文を、親炙する下田稔氏 よりは
意を尽した跋文を頂戴した。唯々、深謝する矣。

　又，風神社の富田直治氏には編集万端一切合財お世話になった。厚く御礼申 し上げ
たい。

　平成二年四月

　　　　　知命を三月後に控えて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高澤 良一