筆まか勢

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筆まか勢

( 2003/06 ← 2003/04 → 2003/03 ) [ 梅雨鯰 ] 朝吹英和氏から句集を御恵送頂いた。面識はない。略歴を拝見すると１９４６年生まれ。握手　磯貝碧蹄館門。小生とほぼ同世代。「石炭」「焼玉」が集中でてくるから　同世代意識が湧いてくる。句風が違うから内容が新鮮である。読んでいて次句に出遭った。梅雨鯰玉かんざしを咥へけりこの句の味わいはどちらかと云へばふくろふに真紅の毛毬つかれをり加藤楸邨の感触に近い。玉かんざしに潜在的に籠められいる「赤」あたりがそう思わせるのだろう。単なる鯰でなく　ぬれぬれしている梅雨鯰が利いている。ずっぽりと濡れ鯰が真っ赤な玉かんざしを咥へているのは一幅の絵。いわば、解説すればするほど面白くなくなる句。身の内の落とし穴から夕螢妙なところから螢が徘徊して出てくる。この出方が面白い。ヤボな単純写生派からはナンダということになるが　俳句はもっと面白くなければならない。「卓上に戦略無用とろろ汁」の作者ならではの一句。その他　小生が共鳴した句木犀の香に包まれし序奏かな黒犀の喇叭の耳や野分来る白犀を炙り出したる劫暑かな水筒の蓋取る頃の薄紅葉キーパーの股間きちきちばったかな急くことも愛の形ぞ鶏頭花聖体を拝領したるきりぎりすバッハ鳴る時の完熟唐辛子船鍛冶の利き腕太し鮟鱇鍋算盤の珠動かざる去年今年隙間なき漢語屹立寒に入る石炭の話となりぬ通夜の酒とりどりの着替への赤や磯焚火背水の陣に散り込む落花かな馬刀突くや少年兵の捧げ銃焼玉の焦げし匂ひや雲の峰炎昼のトロンボーンの欠伸かな聖堂に青きサーベル巴里祭 2003/04/30(水) [ 大道芸 ] 野毛の大道芸毎年　野毛坂したでおこなわれる大道芸祭りを愉しみにしている。ことしのスペシャルゲストはペキーノ・ファミリーサーカス（ロシア）。家族５人編成でやるバルーン（風船）芸。昨年は韓国の大道芸が圧巻であった。それよりなにより今年　是非見たかったのは野毛地区全域といっても桜木町寄りでおこなわれる野毛流し芸野毛大道芝居。特に野毛流し芸は飲屋街で夕方から新内やら越中おわらの流しがあってそれは情緒満点。辻楽士も出現、オッペケペッポーペッポッポーとやったり野毛節などがでてそれは賑やか。タイムスケジュールが配られどういう店にどうゆう流しがやってくるか３０分刻みで乗っている。店といってもせいぜい１０席くらいしかない飲屋やおでん店、焼き鳥屋などである。確か　正岡容の高橋阿伝夜刃譚（たかはしおでんやしゃものがたり）だったか　あの時代の野毛を彷彿とさせる夜景が現出していた。店に張っていて次から次とくる流し芸をみるのだ。もちろんおひねりも必要。津軽三味線は店が満杯で３軒目にしてようやく拝見できた。いろいろな流し芸がある。幇間芸、謎の中国美女が歌謡曲を歌う「上海ミュージカル」落語、篠笛、虚無僧尺八、歌う似顔絵かき、江戸粋曲・遊芸などなど。小沢昭二のバイオリン演歌もタイムテーブルに乗っていたが当夜はみあたらなかった。野毛大道芝居の口上が振るっていた。おひねり　投げ銭大歓迎。だが　一円玉　１００玉の硬貨類は役者に当たってそれは危険　のぞむらくは役者に当たってもやさしい　おさつが一番。なるべく　それ投げてよと。にぎわい座では　定番の大道芸人を集めて夕刻から有料で見せていたのでふらりと立ち寄ってみた。例のチャプリン芸人もおたぶんにもれず出演していた。大道芸祭も年々さかんになって今では赤レンガ館やランドマークタワーといった横濱新名所でおこなわれるようになったが　やはり　小便臭い野毛の裏路地あたりでみるのがもっともそれらしくてよい。野毛には今でもストリップ劇場がある。こんな土地柄だからこそ大道芸は似合う。高橋阿伝夜刃譚霙る夜にのれん出す野毛飲屋街虹立ちて 2003/04/21(月) [ これからの作家論 ] これからの作家論今般ネットサーフしていたら下記　上杉晴一郎さんのホームページ　俳句鑑賞・その七（飯島晴子） http://homepage1.nifty.com/uesugisei/haikumokuji.htm を見いだした。飯島晴子の全句集をマイクロソフトのACCESSを使って　いろいろなキーワードを使って検索分析している。このような手法がこれからのネット時代には有効であることを再確認する。作家論を書こうと思ってある推論を立てる。その裏付けをとるデータ（句群）が早急に必要になる。早急に裏付けデータがとれなければ　その推論は足踏みしひいては　論の展開が危ぶまれる。関連データ収集のスピードはささいなことのようにおもえるが　実は　思考の一部と考えてもよい。推論→仮設→検証　のサイクルを小回りに展開することにより　論はスムースに展開する。俳句検索データベースはこのような使い方にもっとも威力を発揮する。 2003/04/07(月) ( 2003/06 ← 2003/04 → 2003/03 )

[ 管理者：高澤良一 ]

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