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金子敦句集「乗船券」（第四句集）
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金子敦句集「乗船券」（第四句集）
このたびも金子さんより句集御恵送賜った。
以下は小主観ながら小生の共鳴句。
江ノ電に追ひ越されたる春の雲
少しづつ粘土が象になる日永
分度器にとほき日の傷鳥雲に
空深きよりぶらんこの戻り来る
待たされてたんぽぽの絮吹いてをり
噴水のゆふぐれいろとなりにけり
満月の向かう側より呼ばれけり
木の実降る中に舞台の組まれけり
それはもう大きな栗のモンブラン
とほき日のさらに遠くに冬夕焼
底冷やかちりと嵌る乾電池
熱燗や無かったことにする話
なんでもないなんでもないと蜜柑むく
のりしろのやうな海岸初日の出
春泥を跳び越え一年生となる
消えかけし虹へペンギン歩み寄る
さて集中 第一と思った句は
それはもう大きな栗のモンブラン
次いで
熱燗や無かったことにする話
なんでもないなんでもないと蜜柑むく
特に第１句目の「それはもう大きな」という口語口調 即ち 話言葉の
つつみこむような優しさと臨場感のよろしさである。
第２ 第３句の自問自答のような内向的な味がこのひとの味だと
思った。
2012/05/29(火)
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